医学部再受験・学士編入blog by シマ(東工大卒脱サラ医大生)

東工大卒脱サラ医大生が日々の勉強、生活に役立つtipsを書いています!医学部再受験と医学部学士編入関連記事も執筆しています。

【医学部勉強シリーズ】薬物アレルギー・薬物の耐性と依存性【薬理学:総論第7回】

みなさんこんにちは!今回は薬物アレルギー・薬物の耐性と依存性についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

<目次>

薬物耐性

薬物耐性の定義 薬物を短時間内に反復投与して耐性が生じる現象をタキフィラキシーと言う。エフェドリンなどの間接型交感神経興奮薬で見られる。

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【医学部勉強シリーズ】循環障害【病理学:第1回講義】

みなさんこんにちは!本日から病理学について複数の記事にまとめていきます!今回は初回ということで循環障害についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

組織の画像については添付していないため、一部理解しにくい部分があるかもしれません。ご了承ください。

<目次>

はじめに

疾患は複数の項目から成り立つが、病理学では以下の項目について学ぶ。

  • 定義
  • 原因
  • 機序
  • 病理形態
  • 検査と臨床診断

充血とうっ血

充血(hyperemia)

定義:上動脈の拡張による末梢での局所的な血流量の増加。

原因・機序: 充血は能動的な過程で、小動脈の拡張によって流入する血液量が増加した状態である。動脈血の増加により赤く見える。運動時の筋肉、機能が亢進状態にある臓器、障害を受けた局所(組織の一部)、炎症の際に充血が見られる。酸素、化学伝達物質、白血球が増加する。

うっ血(congestion)

定義: 静脈還流が妨げられるために起こる血流の停滞。

原因・機序: 血液流出量が減少する。うっ血は受動的な過程であり、組織からの血液流出がうまくいかない結果生じる。組織は暗赤色で静脈の拡張が目立つ。うっ血が長時間続くと酸素不足になるため、組織の変性・壊死を起こすことがある。 心不全の場合、うっ血は全身性に生じる。静脈系の通過障害の場合、うっ血は局所的に生じる。

繰り返しになるが充血の場合は動脈が拡張し、うっ血の場合は静脈が拡張することに注意する。 うっ血の際に静脈が拡張する理由としては、静脈が何らかの理由で詰まることが考えられる。 充血とうっ血は基本的には1つの臓器で同時に起こる事は無い。 もし同時に起きた場合は病的である。ただしペニスなどの特殊な臓器では充血とうっ血が同時に起こる。

全身うっ血と臓器のうっ血

全身のうっ血心不全で起こり、肝臓や脾臓のうっ血性腫大をきたす。

肝臓うっ血:右心不全などで見られる。これは肝臓から右心系に血流が流れるが、右心室に異常をきたすことにより、その前の臓器である肝臓がうっ血する。基本的にポンプ機能を持つ心室が異常をきたすことでうっ血の原因となる。中心静脈がうっ血し、その周りの幹細胞が壊死する。さらにその周りの幹細胞が死亡編成を起こす。門脈脈周辺幹細胞が偽小葉を形成する。 ニクズス肝となる。

肺うっ血:左心不全などで見られる。肺から左心系に血液が流れるが、左心室に異常をきたすことにより、その前の臓器である肺がうっ血する。 基本的にポンプ機能を持つ心室が異常をきたすことでうっ血の原因となる。 血漿成分が肺胞内に漏出し、肺胞内浮腫を生じる。肺胞に漏れ出た赤血球のヘモジデリンを貪食したマクロファージが見られるようになる。

ニクズス肝の組織画像について

ニクズス肝画像について、では門脈や中心静脈など色が濃くなっている部分がうっ血している。

肺うっ血組織の画像について

肺うっ血画像では暗赤色のところがうっ血していることを理解する必要がある。

肺胞内空がピンク色になっていることがわかる。肺水腫の状態である。

長期の左心不全になると、赤血球が溜まりうっ血していることがわかる。またマクロファージが集まっている。マクロファージの特徴は小さな核と大きな細胞質である。赤血球などからタンパク質が漏れ出し肺浮腫の状態が見られる。つまり肺水腫の状態であると言える。

うっ血時の血漿成分の血管外脱出(浮腫)について

生理学で扱う内容であり今回は省略する。

虚血と梗塞

虚血(ischemia)

定義: 組織を支配する動脈の血流低下。

原因・機序: 細胞、組織の機能障害もしくは死(壊死)に至ることがある。 血液流入量は大幅に減少する。 これは充血の逆である。血液流出量に変化は無い。 虚血は臓器に血液を運搬する動脈に収縮や閉塞が生じた結果、組織に流入する動脈血液量が著名に減少し、流出量は不変の場合に生じる。長時間続くと組織壊死を起こす。 虚血性変化が梗塞を引き起こす。

梗塞(infraction)

定義: 局所の血流障害で起こる組織の壊死。

原因・機序: 動脈血の供給もしくは静脈血の流出が途絶えることによって生じる組織または臓器の限局性虚血性壊死である。 梗塞の多くは血栓症によって引き起こされる。梗塞の種類は出血性梗塞(赤色梗塞)と貧血性梗塞(白色梗塞)がある。

心筋梗塞の患者の心臓組織画像について

この患者は心筋が破裂して血液が心腔に漏れて、心タンポナーデでなくなった。左心室前壁と中隔に梗塞が見られる。心筋梗塞は基本的に貧血性梗塞である。

すべての細胞は核が見られないので、壊死している。 しかし好中球が集まっていない。つまり梗塞から時間が経っていないと言える。

一部の細胞には核が見られるため、これらの細胞は生きていると言える。 他の細胞では角が脱落しており細胞が壊死している。青色の小さなプツプツは好中球であり、平氏した細胞を排除するために集合している。この後にマクロファージが集まることが考えられる。

出血(hemorrhage)

定義: 赤血球が血管外に出ること。

原因・機序

破綻性出血について 血管壁に損傷が生じることにより起きる出血である。外傷や腫瘍、動脈瘤破裂等によって起きる。

漏出性出血について 血管壁に明らかな損傷はないが、血管基底膜や内膜が障害されることや、血管の透過性が亢進されることなどによって内皮細胞間をとって赤血球が滲み出る状態である。出血傾向を示す疾患、播種性血管内凝固症候群(DIC)等によって起きる。

視床出血の画像について

高血圧性の脳出血である。視床に血腫が見られる。 脳室にも血腫が見られる。脳室内穿破が起きている。

以下の内容は参考であるが、洞様毛細血管や類洞から血液が漏れる場合は出血とは言わない。 肝臓や脾臓に注意すること。

終末動脈(梗塞との関係性)

終末動脈とは

定義: 他の動脈との間に吻合やバイパスのない動脈である。(このため梗塞がはっきりと見える。)

原因・機序: 週末動脈が栄養する領域は他の動脈の支配を受けない、つまり二重支配がない。 心臓や中枢神経などで見られる。

以下の内容は参考であるが、動脈の二重支配を受ける代表的な臓器は肺である。 肺動脈と気管支動脈の二重支配を受けている。

エコノミークラス症候群について整理しておく。下肢に血栓ができ、これが右心に飛ぶことによって詰まる。その結果肺梗塞を生じる。そこに気管支動脈からの血液が来ることによって出血性梗塞が起きる。

梗塞の種類

出血性梗塞: 肺や腸などの二重に血液供給を受けている組織で見られる。このような臓器を管腔臓器と呼ぶ。壊死に陥った組織中に閉塞していない血管からの血液流入がある。

貧血性梗塞: 心臓や脾臓、腎臓などのような一系統の血管(終末動脈)に還流されている充実性臓器で見られる。壊死に陥った梗塞内に隣接する毛細血管から染み込む出血量が充実性臓器では少ない。

肺梗塞の組織画像について

肺につながる血管の入り口に血栓ができる。 入り口が詰まった後に、末梢血管に梗塞が広がる。その結果、梗塞される領域が三角形になる。

組織を見てみると、何も構造が見えないため肺梗塞で細胞が死んだことがわかる。

脳梗塞の組織画像について

脳は左右を比較することが重要である。一般に梗塞が起きた場合に、 好中球が詰まり、マクロファージが詰まり最終的に組織に穴が開く、という流れは共通であることに注意する。 脳の右側について、梗塞により組織が脱落して穴が開いていることがわかる。

好中球が集合していることがわかる。

最終的に組織に穴が開いていることがわかる。

マクロファージが集合していることがわかる。マクロファージの特徴は細胞質(胞体)が大きく、核が小さいことである。

血栓(症)と塞栓(症)

血栓血栓症(thrombus・thrombosis)

定義:生体の心臓を含む血管内で生じる血液凝固。

原因・機序血栓より血管の支配神経の組織の虚血や梗塞を起こすことがある。 決戦の種類は白色血栓と赤色血栓がある。白色血栓は血小板、フィブリン、白血球などからなる。赤色血栓は赤血球、フィブリンからなる。

心筋梗塞患者の心臓の動脈画像について

心臓には左前下降枝、左回旋枝、右冠動脈という3つの大きな動脈が存在する。

この患者の場合、左前下降枝には黄色の塊が見られる。これはアテロームとスクレローシスがあることにより動脈硬化が起きていることが考えられる。 一方で、黒い部分は無いため血栓はないと考えられる。左回旋枝と右冠動脈については黒っぽいものが見える。動脈硬化によって狭窄して、閉塞していると考えられる。 3つの動脈とも詰まっていると言える。

心臓血管断面をさらに細かく観察する。血栓の部分とアテロームの部分が観察される。 血管内が非対称になっていることに注意しておく。

心内膜炎の画像について

心臓の弁に血栓が付着している。

さらに細かく組織を観察すると、弁にフィブリン血栓があることがわかる。

血栓形成の条件(Virchowの三兆候)

血栓形成の条件は以下の3つである。

  • 血管の内膜表面の変化(内皮細胞の障害)
  • 血流の変化(停滞または乱れ)
  • 血液の組成の変化(血液凝固性亢進)

血小板の凝集や、血液凝固(フィブリン血栓の形成)などによって血栓ができる。

止血機構や、血液凝固機序、血液流動性維持機構については生理学の内容であるためここでは省略する。

播種性血管内凝固症候群(DIC)

血栓ができる例として、DICが挙げられる。DICの特徴は以下である。

  • フィブリン決戦が微小循環に広範囲に生じる。
  • 血栓が多発すると、血流中の血小板や凝固因子が急速に消耗する(消耗性凝固異常)。
  • 全身性の出血傾向が起こる。

びまん性の循環障害を起こし、脳、肺、心臓、腎臓などに重篤な臓器障害をきたす。多臓器不全となる。

腎臓糸球体のフィブリン血栓の画像について

腎臓糸球体の血管内に、エオジン染色でピンク色になっているって分がある。これがフィブリン血栓である。

門脈圧亢進症について

門脈型の高血圧で、肝硬変や他の門脈の閉塞を起こさせる状態に見られる。以下の特徴がある。

  • メデューサの顔(へその周囲に放射状に日静脈の怒張や蛇行がある)
  • 食道静脈瘤
  • 痔核

塞栓・塞栓症(embolus・emboli・embolism)

定義: 血液とともに流れてきた物質(塞栓)で血管が閉塞すること。

原因・機序: 虚血や脳梗塞を起こす。 例として 以下の3つが挙げられる。

  • 血栓に関係する肺血栓塞栓症: エコノミークラス症候群などがある。
  • 羊水に関係する羊水塞栓性: 出産での死因になり得る。
  • 腫瘍に関係する腫瘍塞栓:がんと関係している。

塞栓の種類として以下の3つがある。

  • 脂肪塞栓:骨折後に見られる。CPR (心肺蘇生)の結果として肋骨が骨折してしまい、その結果として 骨髄内の脂肪が血流に乗って運ばれることにより、解剖時に脂肪塞栓が見られることがある。
  • 骨髄塞栓: 骨折後に見られる。CPR (心肺蘇生)の結果として肋骨が骨折してしまい、その結果として解剖時に骨髄塞栓が見られることがある。
  • 空気塞栓: 血液濾過装置で血液に空気が入ることがある。中心静脈ラインの開放によって血管内に空気が流入することがある。これらが原因となって空気血栓を生じる。

血栓塞栓の組織画像について

大きな肺血栓と小さめの肺血栓が確認できる。

浮腫(edema)

定義: 細胞、細胞間組織における水の過剰な貯留。間質に水が溜まること。

原因・機序: 浮腫の原因はスターリングの法則で整理できる。 以下の3つに整理できる。

  • うっ血性心不全
  • 低蛋白血症
  • リンパ管通過障害、ナトリウム貯留、炎症など

ショック(shock)

定義: 生命維持に必要な所臓器の体還流状態。

原因・機序: 有効循環血液量の低下により起こり、原因により以下のように分類される。ショックの種類は5つある。

  • 心原性: 心臓のポンプ機能低下
  • 血液減少性:出血
  • 神経原性:血管迷走神経反射
  • アナフィラキシー:1型アレルギー
  • 細菌性:グラム陰性桿菌による敗血症とエンドトキシン

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【医学部勉強シリーズ】薬物動態と治療の個別化【薬理学:総論第6回】

みなさんこんにちは!今回は薬物動態と治療の個別化についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

<目次>

非線形薬物動態を取る薬の投与量の調節

非線形薬物動態を取る薬物は語尾が「〜ン」で終わるものが多い。

線形動態と非線形動態を取る薬物について復習する。線形動態の薬物の場合、一定の割合、つまり指数関数的に薬剤が減少する。対数グラフにすると線形になる。一方で非線形動態薬物の場合は、一定時間で一定量の薬剤が減少する。つまり対数グラフにする前にすでに線形である。

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【医学部勉強シリーズ】容量反応性【薬理学:総論第5回】

みなさんこんにちは!今回は容量反応性についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

<目次>

薬と受容体の相互作用:用量反応関係

EC50は全体反応の50%の反応起こす薬物濃度のことである。ED50は最大反応の50%の反応を起こす薬の容量のことである。LD50は致死作用の50%の反応を起こす薬の容量のことである。LD50とED50の比で薬が安全かどうかをチェックすることがある。

アゴニストは同程度の反応起こすのに必要な受容体の選挙率が異なる場合がある。また予備受容体、余剰受容体分画という考え方がアゴニストに存在することを理解しておく。

アゴニスト(作動薬)、パーシャルアゴニスト(部分作動薬)、アンタゴニスト(拮抗薬)、インバースアゴニスト(ネガティブアンタゴニスト、リバースアゴニスト、逆作動薬)については図で関係性を押さえておくと良い。

アゴニスト(作動薬)は新品の鍵のようなものである。パーシャルアゴニスト(部分アゴニスト)については古い鍵のようなものである。アンタゴニスト(拮抗薬)についてはガムのようなものである。アンタゴニストには競合的アンタゴニストと非競合的アンタゴニストが存在する。競合的アンタゴニストは同じ鍵穴に対して作用するが、非競合的アンタゴニストについては異なる鍵穴に作用する。 インバースアゴニストについては鍵のようなものが作用せずともその後の形の活性化をオフにできるものである。RAA型の活性化のしすぎを抑えたりすることに使われる。

ポテンシーとエフィカシーについては明確に区別しておく必要がある。ポテンシーはEC 50に反映される。つまり、次は受容体結合部位への親和性に関係している。酵素反応のKmと近い考え方である。

エフィカシーについては最大反応の大きさとして表される。酵素反応のVmaxと近い考え方である。

Model Building

エフィカシーとAffinityを混合しないことが重要である。 アフィニティー(親和性)はポテンシーと似たような考え方である。

構造活性相関

化学構造のわずかな変化が薬理学的活性の大きな変化につながることがある。

情報伝達型

受容体が作用してから効果が発揮されるまでの過程を理解することが重要である。詳細については薬理学の各論で取り扱う。

ヒトにおける用量反応関係

用量反応曲線によって判断できる、EC50やED50については、ポテンシーについてもエフィカシーについても各個人によって差が生まれる。

薬の毒性

薬を投与すると求めている効果を得ることができるが、必要量以上を投与すると毒性が発生することがある。このため投与量を調節することが重要である。

治療係数について整理する。治療係数はLD50とED50の比で表される。毒性が軽度の場合はこの治療係数で判断することが妥当である。一方で致死的毒性の場合は、99%の対象に有効作用を表す量(ED99)と、1%の対象が致死する量(LD1)の比をとった値の方がより良く評価できる。

用量反応曲線において、薬の効きと毒性が平行移動の形を取るグラフパターンが存在する。一方でグラフの形状が平行でない場合も存在する。この場合は治療係数以外の指標が必要である。つまり、グラフが平行でない場合は治療効果が出る側からすぐに毒性も現れると言うことである。

アトロピンはムスカリン受容体の競合的阻害薬であり副交感神経の働きを止める。アトロポスと呼ばれる女神はアトロピンを摂取することにより瞳孔を散大させて目を大きく見せていたと言われている。

薬の命名

一般名は同系統の薬では語尾が似ているので覚えやすくなっている。

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【医学部勉強シリーズ】薬物受容体と薬力学【薬理学:総論第4回】

みなさんこんにちは!今回は薬物受容体と薬力学についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

<目次>

薬の受容体

受容体の分類には以下の4つがある。 また3番目の分類にはさらに3つの細かい種類が存在することに注意する。

  1. 細胞膜受容体
  2. 核内受容体
  3. 薬と相互作用することにより機能が変化する高分子:酵素、輸送体系 (ナトリウムカリウムATPase、イオンチャネル)、核酸の3種類が存在する。
  4. 同定されていない受容体

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【医学部勉強シリーズ】薬の作用機序【薬理学:総論第3回】

みなさんこんにちは!今回は薬の作用機序についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

<目次>

はじめに

PD (薬力学)では薬が生体にどう影響与えるかを研究する。つまり薬が作用部位においてどんな作用機序でどのような作用を生体に及ぼすかを扱う。総論第2回で扱った薬物動態学では4つの式を用いて生体が薬にどう影響与えるかについて考えてきた。薬物動態学と薬力学では薬と生体のどちらが作用を与えるかが異なるので注意すること。

薬力学の学習目標

  • 薬の多様な作用点を理解するために、大部分の薬の標的となる「受容体」に焦点を当てて理解を深める。
  • 受容体理論を理解する。受容体の占拠の度合いと作用は必ずしも比例関係ではないことを理解する。同じ受容体に異なるアゴニストが作用すると効力が違うことを理解する。
  • アゴニスト、パーシャルアゴニスト、アンタゴニスト、インバースアゴニスト(ネガティブアゴニスト)を理解する。
  • ヒトの生体内(インビボ)での薬の用量反応と試験管内(インビトロ)での薬の容量反応を比較する。患者群での係数的な薬の容量反応とも比較する。
  • 治療効果と毒性発現を記述する曲線を理解し、治療係数を同定する。

薬力学の学習項目 学習項目は以下の9項目である。

  1. 薬の作用点
  2. 薬の受容体
  3. 薬と受容体の相互作用(容量反応関係)
  4. Model Building
  5. 構造活性相関
  6. 情報伝達型
  7. ヒトにおける用量反応関係
  8. 薬の毒性
  9. 薬の命名

薬の作用点

以下のように分類されている。

細胞外

  • 物理化学的作用
  • 化学的作用
  • 酵素作用

細胞内または細胞表面上

  • 非特異的な細胞膜との作用
  • 特異的な受容体に作用(受容体に作用、酵素に作用、イオンチャネルに作用)

上記のうち、特異的な受容体に作用するパターンが最も重要である。 またその中でも受容体に作用するパターンが最も重要である。

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【医学部勉強シリーズ】薬物動態序論【薬理学:総論第2回】

みなさんこんにちは!今回は薬物動態序論についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

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<目次>

薬物動態学

薬物動態学とは生態が薬にどう影響を与えるかについて研究する学問である。 薬物動態学では容量と濃度の関係 明らかにし、一方で薬力学では濃度と薬効の関係を明らかにする。

以下の定量的で時間依存性のある過程を扱う。

  1. 吸収、分布、代謝、排泄(ADME)
  2. 薬物の血中濃度を規定する投与量(容量)、投与経路、 有効血中濃度を得るためのタイミング
  3. 薬の効果(薬効)を規定する投与量(容量)、投与経路、 薬効を得るためのタイミング(2と同じとは限らない)

なお以下の事項を前提とする。

  1. 薬効、副作用は標的組織の薬物濃度と相関する。
  2. 循環血中の薬物濃度は用量と相関する。
  3. 薬物濃度は時間とともに変化する。
  4. 薬物療法は薬物濃度、用量、時間とともに推移する濃度の関係を良く知ることで最適化できる。言い換えれば、少なすぎる薬で無効な治療をしない、過剰量の薬で毒性を出さないことを目指す。

薬物動態学への経験的アプローチのすすめ:通常薬物動態学は数学的なモデル解析を用いて説明される。一方でこれらの微分積分を使用した考え方は難しく、経験的アプローチが有効である。 経験的アプローチとは特定の薬を理解しようとする際に動物やヒトから実際に得られたデータを参考にするものである。 難しい数式は使用しない。

線形動態(Linear Pharmacokinetics)、1-コンパートメントモデル

あるシナリオとして血圧を下げる薬を静脈注射することを考える。 薬はすぐに混合され全身に分布すると仮定する。時間経過と共に薬物濃度と血圧を測定する。 また半分の量の薬を再投与する。

得られたデータを考察する。 薬の初期濃度(C0)は薬の量に正相関する。薬は投与量にかかわらず単位時間あたりに一定の割合で消失して行く。 これを指数関数的消失、または一時消失という。 得られたグラフを対数で表すと直線になる。

血圧は薬の投与量とその時の薬の血中濃度に相関する。

得られたデータから一次消失速度定数Kelが求まる。全身クリアランス(Cl total) とは、 「単位時間あたりに“薬を消失させた血液の体積”」と定義され、定常状態での消失速度と分布容積Vdの席で表される。

消失半減期(T1/2)とは血中薬物濃度が初期濃度の半分に下がるまでに必要とする時間のことである。

薬の消失半減期(T1/2)はその薬に固有のものではない。その薬を投与されている患者同士でも同じではない。1人の患者でもいつも同じとは限らない。(Vd、クリアランスは同じ人でも病態によって異なる。)

消失半減期がクリアランス(薬を代謝、排泄する能力)と個人のVdに依存することを示している。

繰り返しになるが、消失半減期はクリアランスとVdに依存する。腎臓または肝臓からのクリアランスが障害を受ければ、クリアランスが小さくなり、消失半減期が延長することを理解すること。

また得られたデータより、薬を 1回投与した後、95%以上が4〜5半減期の間に消失しているのがわかる。

具体例として浮腫、腹水をきたした患者について考える。クリアランスは変化せずにVdが増加するので、消失半減期は延長する。それとともに薬を1回投与した後の初期濃度は低下する。なぜならC0=Does/Vd、の関係が成り立つからである。

1-コンパートメントモデルについてまとめる。コンパートメントモデルとは、生体を1つあるいは複数のコンパートメントに区画して、それらの間の物質移動を速度定数で表現した数学的モデルである。各コンパートメント内の薬物濃度は均一とし、コンパートメント間の物質移動は、一次の速度過程で表される。臨床的によく使われるのは生体を1つの区画として考える1-コンパートメントモデルである。また、薬のクリアランスの経路は1つにまとめられている。

非線形動態(Non-linear Pharmacokinetics)

コンパートメントからの薬の除去が一定の割合ではなく、一定の量である場合である。

線形動態の場合、得られたグラフは指数関数的に薬物濃度が減少していくことがわかる。このグラフを対数グラフで表すと線形になった。

一方で非線形動態の場合は得られたグラフが直線の形状を示す。つまり薬は指数関数的に減少するのではなく1時関数的に減少する。

薬物動態に関わる生体内の上過程には処理能力の限界がある。ある種の薬物では臨床容量の範囲内で飽和性を示す、つまり1度に大量に処理できないケースがある。エタノールがこの一例として挙げられる。

あるシナリオを考えてみよう。試験が終わってほっとした学生が180mLのウイスキーを飲んでから安らかな眠りについた。薬理学の試験勉強をしていた別の学生は飲酒量を120mLにしておいた。2人とも5時間後には車で実家に帰る予定でいる。法律で規定されている血中アルコール濃度が0.3g/Lだとすると電車で帰らないといけないのはどちらであろうか。飲酒量を120ミリリットルに抑えた学生は5時間後には血中アルコール濃度 が0.3 g/Lを下回る。一方で180mL飲酒した学生は5時間後も血中アルコール濃度がおよそ0.65 g/Lあり、電車で帰宅せねばならない。

先ほども述べたように非線形動態の場合、薬の体からの除去の過程は直線のグラフで示される。この場合、線形動態で見られたような消失半減期の概念は当てはめることができない。180mLのウイスキーを飲酒した学生についてはアルコールが初期濃度から半分の濃度にまで減少するのに4時間かかっている。一方で120mLのウイスキーを飲酒した学生については、 アルコール濃度が初期濃度から半分の濃度にまで減少するのに3時間しか必要としなかった。この動態を取るものは他にフェニトイン、テオフィリン、大量のサリチル酸がある。

反復投与

多くの治療薬では反復投与を必要とする。線形動態で確認したように、1回薬を投与すると5半減期で95%以上の薬が除去される。5半減期以降で、薬を頻繁な回数、一定間隔で投与し続けると、薬が徐々に蓄積していく。除去される薬の量と一定時間以内に投与される薬の量、正確には生体利用される薬の量、とが等しくなると定常状態となる。薬物濃度は定常状態の濃度近辺で変動することになる。

ここで、あるシナリオとして半減期ごとに薬を反復投与した場合を考える。

次のようなデータが得られる。定常状態に近づくと、トラフ値(つまり次回投与直前の薬物濃度)は初回投与のピーク値と同様になっている。定常状態でのピーク値はトラフ値の2倍となっている。平均血中濃度は初回投与のピーク値の約1.5倍となっている。3回目投与で定常状態の87.5%に足している。5回目投与では定常状態の95% 以上となる。定常状態での薬の濃度は次の式で示される。Css=1.5×(T1/2/T)×C0 ただし半減期は今回のケースでは1である。

非線形胴体を示す薬では薬の投与量と血中濃度が比例せず容量設定が難しい。血中濃度はより急速に増加する。一定間隔で投与量を2倍にすれば定常状態での血中濃度は2倍以上になり容量変更は極めて慎重に行わなければならない。ちなみにフェニトインでは、投与量を2倍にしたときに血中濃度が5倍以上に濃度が上昇することがある。

薬の投与量と投与間隔の決定について以下の点に注意すべきである。

  • ピーク時でも毒性を表さないようにする必要がある。
  • トラフ値は最小有効濃度を超えるようにする必要がある。
  • 投与間隔は、患者が現実的に薬を飲むことができるような頻度になるように設定する必要がある。

薬には治療濃度域、つまり有効血中薬物濃度域がある。下限は薬効を発揮する最小有効濃度であり、上限は薬物特有の有害作用が発言する最小中毒発現濃度である。定常状態での薬の濃度Cssを保ちつつピーク値とトラフ値との幅を狭めるには、半減期より短い間隔で薬を投与する必要がある。定常状態での薬の濃度を保ちつつピーク値とトラフ値との幅を広げるには、半減期より長い間隔で薬を投与する必要がある。

定常状態に達するまでの時間は半減期で決定されて、投与間隔では決まらない。投与間隔は、薬物濃度を決定することができる。

薬物動態学のまとめ

薬物動態学とは生体が薬にどう影響を与えるかを研究する学問である。薬物動態学を理解し活用するためには以下の4つの式を押さえておけば良い。感覚的にも理解しておくことが重要である。

T1/2=0.693×(Vd/Cl) 薬の半減期(T1/2)は、その薬にとって一定ではない。患者側の因子である分布容積VdとクリアランスCに依存している。VdとClは病態や個々人によって変化する。薬が除去される速度が早ければ、つまりクリアランスが大きければ半減期は短くなる。大きな器に薬が分布していれば、つまりVdが大きければ、空っぽにしていくのに時間がかかり、半減期が長くなる事は想像できるだろう。

C0=Does/Vd(より正確にはC0=F×Does/Vd) 薬の初期濃度を求めるのに、薬の投与量を分布容積で割れば良いのは感覚的に理解しやすい。この式をもとに式変形をして活用する場合もある。実験的には薬をある量投与して、初期濃度を測定して、この式よりVdを求める。

F×Does/τ=Css×Cl(Drug Dosing rate = Rate of Loss) 一定の時間τに投与する薬の量(左辺)は、単位時間あたりに失われる薬の量(右辺)に等しい。単位時間あたりに失われる薬の量(右辺)は、単位時間あたりの”薬を消失させた血液の体積”×定常状態の薬物血中濃度Cssである。つまり薬が失われる分だけ補充していけば定常状態を保てる。

重要な2つのポイントを整理する。

  • Vdは初期投与必要量を決定するカギになる。クリアランスと半減期は静脈内投与時の初期投与必要量の決定には関係しない。経口投与時の初期投与必要量は、プレシステミッククリアランスが関係してくるので、F(生体利用率)を考慮する必要が出てくる。
  • Dosing rate(F×Does) は、クリアランスで決定される。クリアランスは少なくとも2つの重要な要素を含んでいる。代謝と排泄の能力と、Vdに関係するものである。臨床上大切な事は、いかなる理由でもクリアランスが変化すればDosing rateを変える必要があるということである。

神経動態を示す薬(大部分の薬)の定常状態では次の式が成り立つ。「新たな投与量=(目標血中濃度/現行血中濃度)×現行投与量」の関係が成り立つ。つまり薬の目標血中濃度を今の倍にしたければ、今の倍の投与量にすれば良いということである。

リアランス

薬を肝臓で代謝、または腎臓で排泄することで非可逆的に除去している臓器を考えてみる。 薬がある臓器に動脈側から流入する量は、 血流量Qと動脈血中の薬の濃度Caとの積Q×Caで表される。同様に、静脈側に出ていく薬の量は血流量Qと静脈血中の薬の濃度Cvとの積Q×Cvで表される。その差がその臓器によって除去される薬の除去速度Q(Ca-Cv)である。

除去速度をQ×Caで割ると、ある臓器で薬が除去される率、つまり抽出率は次のようになる。E=(Ca-Cv)/Ca。 飯の値は0から1の間の範囲を取る。薬がその臓器を通過しても全く除去されなければ0、全て除去されれば1となる。

QにEをかけると、「単位時間あたりの“薬を消失させた血液の体積”」と定義されるクリアランスが得られる。CL=Q×(Ca-Cv)/Ca(除去速度、つまり 単位時間あたりに臓器で除去して体外に排出する薬の量/ 動脈血中の薬の量)(式1)。

腎臓のクリアランスがUV/Pで表されることを思い出してほしい。UVは尿中に排泄される量で、Pは血漿中濃度である。式1で示した関係と同じである。

通常、薬の除去には肝臓、腎臓、肺、その他の臓器が関与し、それぞれ独自の直特性を有している。循環結中にある薬から見ると、これらの個々の除去経路は区別できないので全身クリアランスとして、つまり体全体から薬が除去されるものとして扱う。

次の値は覚えておく必要がある。

式1は、除去速度=クリアランス×薬の血漿濃度と書き換えられる。 薬が体内から除去される速度は、薬の血中濃度に比例する。この式で、その比例定数がクリアランスにあたることが分かる。

リアランスの重要性:クリアランスは、定常状態において目的とする血漿濃度を達成するのに必要な薬の維持投与速度を決定するパラメータである。定常状態では、除去速度=維持投与速度であるため次の式の関係が成り立つ。「維持投与速度=クリアランス×定常状態における薬の血漿濃度。」

リアランスの測定法:一定速度で静脈内投与し定常状態を保っているならば、上記の色より、次の関係が成り立つ。「クリアランス=維持投与速度/定常状態における薬の血漿濃度(式2)。」

または、静脈内に1回投与した後、経時的に血中濃度を測定し、AUCを求め、次の式から クリアランスを求める。「クリアランス=投与量/AUC。」この式は式2の分母と分子に時間をかけたことによって求められた。AUCが大きい、つまり薬の減り具合が大きければ、クリアランスは小さくなる。

見かけの分布容積

ここで言う分布容積は、実際の生理学的な分布容積を表すのではなく、薬物の組織移行性の程度を表す動力学的なパラメーターである。体内各部位の薬物分布が平行に出したときの薬物量と血中薬物濃度の比が用いられる。例えば、ある薬物の血中濃度が10mg/Lで体内2000mgの薬物が存在する時、見かけの分布容積は100Lである。すなわち、1000mgの 薬物が仮想的な100Lの容積に分布し、血中濃度が10 mg/Lになっている。

Volume of Distrivution(Vd) = total amount of drug in body / Blood of Plasma drug concentration

分布容積が”みかけ”の容積とすると、どのような因子で決定されているのか?主要因子は、血漿タンパクとの結合と比較して、薬が組織成分とどの程度強く結合するかである。薬が組織成分と非常に強く結合し、体内に存在する大部分の薬が組織に留まり血漿中にわずかしかなければ、血中濃度が低くなりVdは大きくなる。イミプラミンやクロルプロマジンのような脂溶性塩基はその代表である。 イミプラミンのVdは2100リットルである。逆に、薬が血漿タンパクと非常に強く結合していれば、血中濃度が高くなりVdは小さくなり血液量に近似する。 ワルファリンがその代表である。 ワルファリンのVdは8リットルである。

VDの測定法について整理する。 ここでは値を仮定して話を進める。200mgの薬を投与し、経時的に血液を採取し薬物濃度を測定したとする。薬物濃度の対数を時間に対してプロットすると、図は直線となる。これを0 time(投与時点)まで外挿すれば、薬が除去される前すなわち200mgの薬が全て体内にあるときの薬物濃度10mg/Lが得られる。

「(Vd) = total amount of drug in body / Blood of Plasma drug concentration」の関係から、 投与時点(0 time)では、Vd=does/Co=200/10=20L、となる。

Vdは臨床でどのように使うのか整理する。(クリアランスは持続投与時の正常状態における薬物濃度を決定した。薬の投与を維持量で開始すれば、定常状態に達するにはある程度の時間を要した。)ある目標血中濃度に速やかに到達させるには、loading does(初回負荷量)が投与される。loading doesの決定にVdが使われる。例えば、見かけの分布容積(Vd) 20Lに 10mg/Lの濃度で薬を満たすには、200mgを1度に負荷してやれば良い。つまり次の関係が成り立つ。「loading does(初回負荷量)=Vd×目標血中濃度」。値を当てはめると「200mg=20L×10mg/L」となる。

消失速度・消失半減期

薬は、リザーバ(Vd)に分布し、その分角(Q/V)が単位時間に直結間に送られ、ある比率(0<E<1)で非可逆的に除去される。それゆえ、単位時間あたりに除去される分画Kelは次のようになる。「Kel=QE/V=CLs/V(/time)」。

リアランス(CLs)と見かけの分布容積(Vd)は一定条件下では定数を取るので、Kelも定数で一次消失速度と呼ばれる。重要な事は、Kelが(生理学過程で決定される薬の特性を表す) 2つの独立したパラメータの比であるということである。

消失半減期について整理する。消失半減期(t 1/2)は、血中薬物濃度が初期濃度の半分に下がるまでに要する時間のことである。薬の消失過程は通常、指数関数的で、単位時間あたりに身体から消失する薬の割合は一定である。 薬の消失過程をグラフ化するときに、血中薬物濃度を対数でプロットすると直線となる。これをfirst order elimination (一次消失)と呼ぶ。

単回投与後の血中薬物濃度は、指数関数的に出するので、投与時(time 0)の初期薬物濃度をC0、一次消失速度定数をkとすると、ある時間tにおける薬物濃度Ctは、次のようになる。「Ct=C0e^-kt」。 血中薬物濃度が初期濃度の半分になる時間がt1/2なので、次の式が立式される。「0.5C0=Coe^-kt1/2」。これを式変形すると、「t1/2=0.693/k、ただしk=CLs/V」となる。つまり「t1/2=0.693*Vd/CLs」となる。

このように、薬の消失半減期は、薬の器の大きさ(見かけの分布容積Vd)と除去効率(クリアランスCLs)の逆数に比例することがわかる。薬が除去される速度が早ければ(クリアランスが大きければ)半減期は短くなるし、大きな器に薬が分布していれば(Vdが大きければ)空っぽにしていくのに時間がかかる(つまり半減期が長くなる)事は、想像できるだろう。別の考え方をすると、Vdが大きいと言う事は、薬は血中に比べて組織で濃縮されているので、除去組織である肝臓や腎臓に血流を通じて入り込む薬の量が少なくなることを意味する。

半減期の臨床的重要性についてまとめる。半減期は、単回投与後の作用持続時間、持続投与時の定常状態に達するまでにかかる時間、反復投与時の至適投与間隔の決定に必要である。

  • 単回投与後の作用持続時間についてまとめる。単回投与後、半減期の長い薬は有効血中濃度を上回る時間が長くなる。(しかし濃度指数関数的に減少するので、投与量倍にしても作用持続時間が倍になるとは限らない。大雑把に言って、投与量倍にすれば、作業時間は1半減期伸びる。)

  • 持続投与時の定常状態に達するまでにかかる時間について整理する。一定の速度で薬を注入していくと、(投与中断後の除去過程とミラーイメージで)定常状態に近づいていく。クロロキンの半減期は200時間あるので、4半減期は約5週間に相当し、マラリア流行地に行く数週間前から予防投与を開始する必要があることが理解できる。またテオフィリン投与期間中に血中濃度をモニターすることがある。テオフィリンの半減期は通常6〜8時間だが、重篤な心疾患や肝疾患では(肝臓でのクリアランスが減少するため)半減期が20時間となる。通常の速度でテオフィリンを注入していくと20時間後でも50%にしかならない。そこで定常状態に達するまでの時間は同じでも、有効血中濃度に早く入れるために初回負荷量を投与することになる。つまり初回に投入する薬の量を増やすと言うことである。

  • 反復投与時の至適投与間隔の決定について整理する。定常状態では、投与間の血中薬剤濃度の変動幅は、半減期と投与間隔によって影響を受ける。もし半減期と同じ間隔で薬が投与され、速やかに吸収されピークに達するとすれば、次回投与直前の最低血中濃度(トラフ値と言う)は半分になっているはずである。したがってピーク値はトラフ値の倍となり、血中薬剤濃度はこの間の変動することになる。もし半減期より短い間隔で投与を繰り返せば、血中薬剤濃度の変動幅はもっと小さくなり、血中濃度上昇による毒性は軽減する。半減期が2〜5時間である小児のテオフィリン治療を例にして考えてみよう。テオフィリンの治療域は10〜20mg/Lで、吸収が早い通常の100mg製材を4時間ごとに投与すればこの範囲で変動する。4時間ごとの投与は現実的ではないので、300mg製材を12時間間隔で投与することにした。これでは、ピークで毒性が出て、トラフでは有効血中濃度を下回ってしまう。そこで、徐放製剤を使用し、持続投与を模倣し、投与間隔を12時間間隔にすることを試みる。 徐放製剤では除去速度よりも緩やかな速度で吸収が起こるので、血中薬剤濃度の変動が少なく、かつ実現可能な投与計画となる。

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