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【医学部勉強シリーズ】薬物動態序論【薬理学:総論第2回】

みなさんこんにちは!今回は薬物動態序論についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

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<目次>

薬物動態学

薬物動態学とは生態が薬にどう影響を与えるかについて研究する学問である。 薬物動態学では容量と濃度の関係 明らかにし、一方で薬力学では濃度と薬効の関係を明らかにする。

以下の定量的で時間依存性のある過程を扱う。

  1. 吸収、分布、代謝、排泄(ADME)
  2. 薬物の血中濃度を規定する投与量(容量)、投与経路、 有効血中濃度を得るためのタイミング
  3. 薬の効果(薬効)を規定する投与量(容量)、投与経路、 薬効を得るためのタイミング(2と同じとは限らない)

なお以下の事項を前提とする。

  1. 薬効、副作用は標的組織の薬物濃度と相関する。
  2. 循環血中の薬物濃度は用量と相関する。
  3. 薬物濃度は時間とともに変化する。
  4. 薬物療法は薬物濃度、用量、時間とともに推移する濃度の関係を良く知ることで最適化できる。言い換えれば、少なすぎる薬で無効な治療をしない、過剰量の薬で毒性を出さないことを目指す。

薬物動態学への経験的アプローチのすすめ:通常薬物動態学は数学的なモデル解析を用いて説明される。一方でこれらの微分積分を使用した考え方は難しく、経験的アプローチが有効である。 経験的アプローチとは特定の薬を理解しようとする際に動物やヒトから実際に得られたデータを参考にするものである。 難しい数式は使用しない。

線形動態(Linear Pharmacokinetics)、1-コンパートメントモデル

あるシナリオとして血圧を下げる薬を静脈注射することを考える。 薬はすぐに混合され全身に分布すると仮定する。時間経過と共に薬物濃度と血圧を測定する。 また半分の量の薬を再投与する。

得られたデータを考察する。 薬の初期濃度(C0)は薬の量に正相関する。薬は投与量にかかわらず単位時間あたりに一定の割合で消失して行く。 これを指数関数的消失、または一時消失という。 得られたグラフを対数で表すと直線になる。

血圧は薬の投与量とその時の薬の血中濃度に相関する。

得られたデータから一次消失速度定数Kelが求まる。全身クリアランス(Cl total) とは、 「単位時間あたりに“薬を消失させた血液の体積”」と定義され、定常状態での消失速度と分布容積Vdの席で表される。

消失半減期(T1/2)とは血中薬物濃度が初期濃度の半分に下がるまでに必要とする時間のことである。

薬の消失半減期(T1/2)はその薬に固有のものではない。その薬を投与されている患者同士でも同じではない。1人の患者でもいつも同じとは限らない。(Vd、クリアランスは同じ人でも病態によって異なる。)

消失半減期がクリアランス(薬を代謝、排泄する能力)と個人のVdに依存することを示している。

繰り返しになるが、消失半減期はクリアランスとVdに依存する。腎臓または肝臓からのクリアランスが障害を受ければ、クリアランスが小さくなり、消失半減期が延長することを理解すること。

また得られたデータより、薬を 1回投与した後、95%以上が4〜5半減期の間に消失しているのがわかる。

具体例として浮腫、腹水をきたした患者について考える。クリアランスは変化せずにVdが増加するので、消失半減期は延長する。それとともに薬を1回投与した後の初期濃度は低下する。なぜならC0=Does/Vd、の関係が成り立つからである。

1-コンパートメントモデルについてまとめる。コンパートメントモデルとは、生体を1つあるいは複数のコンパートメントに区画して、それらの間の物質移動を速度定数で表現した数学的モデルである。各コンパートメント内の薬物濃度は均一とし、コンパートメント間の物質移動は、一次の速度過程で表される。臨床的によく使われるのは生体を1つの区画として考える1-コンパートメントモデルである。また、薬のクリアランスの経路は1つにまとめられている。

非線形動態(Non-linear Pharmacokinetics)

コンパートメントからの薬の除去が一定の割合ではなく、一定の量である場合である。

線形動態の場合、得られたグラフは指数関数的に薬物濃度が減少していくことがわかる。このグラフを対数グラフで表すと線形になった。

一方で非線形動態の場合は得られたグラフが直線の形状を示す。つまり薬は指数関数的に減少するのではなく1時関数的に減少する。

薬物動態に関わる生体内の上過程には処理能力の限界がある。ある種の薬物では臨床容量の範囲内で飽和性を示す、つまり1度に大量に処理できないケースがある。エタノールがこの一例として挙げられる。

あるシナリオを考えてみよう。試験が終わってほっとした学生が180mLのウイスキーを飲んでから安らかな眠りについた。薬理学の試験勉強をしていた別の学生は飲酒量を120mLにしておいた。2人とも5時間後には車で実家に帰る予定でいる。法律で規定されている血中アルコール濃度が0.3g/Lだとすると電車で帰らないといけないのはどちらであろうか。飲酒量を120ミリリットルに抑えた学生は5時間後には血中アルコール濃度 が0.3 g/Lを下回る。一方で180mL飲酒した学生は5時間後も血中アルコール濃度がおよそ0.65 g/Lあり、電車で帰宅せねばならない。

先ほども述べたように非線形動態の場合、薬の体からの除去の過程は直線のグラフで示される。この場合、線形動態で見られたような消失半減期の概念は当てはめることができない。180mLのウイスキーを飲酒した学生についてはアルコールが初期濃度から半分の濃度にまで減少するのに4時間かかっている。一方で120mLのウイスキーを飲酒した学生については、 アルコール濃度が初期濃度から半分の濃度にまで減少するのに3時間しか必要としなかった。この動態を取るものは他にフェニトイン、テオフィリン、大量のサリチル酸がある。

反復投与

多くの治療薬では反復投与を必要とする。線形動態で確認したように、1回薬を投与すると5半減期で95%以上の薬が除去される。5半減期以降で、薬を頻繁な回数、一定間隔で投与し続けると、薬が徐々に蓄積していく。除去される薬の量と一定時間以内に投与される薬の量、正確には生体利用される薬の量、とが等しくなると定常状態となる。薬物濃度は定常状態の濃度近辺で変動することになる。

ここで、あるシナリオとして半減期ごとに薬を反復投与した場合を考える。

次のようなデータが得られる。定常状態に近づくと、トラフ値(つまり次回投与直前の薬物濃度)は初回投与のピーク値と同様になっている。定常状態でのピーク値はトラフ値の2倍となっている。平均血中濃度は初回投与のピーク値の約1.5倍となっている。3回目投与で定常状態の87.5%に足している。5回目投与では定常状態の95% 以上となる。定常状態での薬の濃度は次の式で示される。Css=1.5×(T1/2/T)×C0 ただし半減期は今回のケースでは1である。

非線形胴体を示す薬では薬の投与量と血中濃度が比例せず容量設定が難しい。血中濃度はより急速に増加する。一定間隔で投与量を2倍にすれば定常状態での血中濃度は2倍以上になり容量変更は極めて慎重に行わなければならない。ちなみにフェニトインでは、投与量を2倍にしたときに血中濃度が5倍以上に濃度が上昇することがある。

薬の投与量と投与間隔の決定について以下の点に注意すべきである。

  • ピーク時でも毒性を表さないようにする必要がある。
  • トラフ値は最小有効濃度を超えるようにする必要がある。
  • 投与間隔は、患者が現実的に薬を飲むことができるような頻度になるように設定する必要がある。

薬には治療濃度域、つまり有効血中薬物濃度域がある。下限は薬効を発揮する最小有効濃度であり、上限は薬物特有の有害作用が発言する最小中毒発現濃度である。定常状態での薬の濃度Cssを保ちつつピーク値とトラフ値との幅を狭めるには、半減期より短い間隔で薬を投与する必要がある。定常状態での薬の濃度を保ちつつピーク値とトラフ値との幅を広げるには、半減期より長い間隔で薬を投与する必要がある。

定常状態に達するまでの時間は半減期で決定されて、投与間隔では決まらない。投与間隔は、薬物濃度を決定することができる。

薬物動態学のまとめ

薬物動態学とは生体が薬にどう影響を与えるかを研究する学問である。薬物動態学を理解し活用するためには以下の4つの式を押さえておけば良い。感覚的にも理解しておくことが重要である。

T1/2=0.693×(Vd/Cl) 薬の半減期(T1/2)は、その薬にとって一定ではない。患者側の因子である分布容積VdとクリアランスCに依存している。VdとClは病態や個々人によって変化する。薬が除去される速度が早ければ、つまりクリアランスが大きければ半減期は短くなる。大きな器に薬が分布していれば、つまりVdが大きければ、空っぽにしていくのに時間がかかり、半減期が長くなる事は想像できるだろう。

C0=Does/Vd(より正確にはC0=F×Does/Vd) 薬の初期濃度を求めるのに、薬の投与量を分布容積で割れば良いのは感覚的に理解しやすい。この式をもとに式変形をして活用する場合もある。実験的には薬をある量投与して、初期濃度を測定して、この式よりVdを求める。

F×Does/τ=Css×Cl(Drug Dosing rate = Rate of Loss) 一定の時間τに投与する薬の量(左辺)は、単位時間あたりに失われる薬の量(右辺)に等しい。単位時間あたりに失われる薬の量(右辺)は、単位時間あたりの”薬を消失させた血液の体積”×定常状態の薬物血中濃度Cssである。つまり薬が失われる分だけ補充していけば定常状態を保てる。

重要な2つのポイントを整理する。

  • Vdは初期投与必要量を決定するカギになる。クリアランスと半減期は静脈内投与時の初期投与必要量の決定には関係しない。経口投与時の初期投与必要量は、プレシステミッククリアランスが関係してくるので、F(生体利用率)を考慮する必要が出てくる。
  • Dosing rate(F×Does) は、クリアランスで決定される。クリアランスは少なくとも2つの重要な要素を含んでいる。代謝と排泄の能力と、Vdに関係するものである。臨床上大切な事は、いかなる理由でもクリアランスが変化すればDosing rateを変える必要があるということである。

神経動態を示す薬(大部分の薬)の定常状態では次の式が成り立つ。「新たな投与量=(目標血中濃度/現行血中濃度)×現行投与量」の関係が成り立つ。つまり薬の目標血中濃度を今の倍にしたければ、今の倍の投与量にすれば良いということである。

リアランス

薬を肝臓で代謝、または腎臓で排泄することで非可逆的に除去している臓器を考えてみる。 薬がある臓器に動脈側から流入する量は、 血流量Qと動脈血中の薬の濃度Caとの積Q×Caで表される。同様に、静脈側に出ていく薬の量は血流量Qと静脈血中の薬の濃度Cvとの積Q×Cvで表される。その差がその臓器によって除去される薬の除去速度Q(Ca-Cv)である。

除去速度をQ×Caで割ると、ある臓器で薬が除去される率、つまり抽出率は次のようになる。E=(Ca-Cv)/Ca。 飯の値は0から1の間の範囲を取る。薬がその臓器を通過しても全く除去されなければ0、全て除去されれば1となる。

QにEをかけると、「単位時間あたりの“薬を消失させた血液の体積”」と定義されるクリアランスが得られる。CL=Q×(Ca-Cv)/Ca(除去速度、つまり 単位時間あたりに臓器で除去して体外に排出する薬の量/ 動脈血中の薬の量)(式1)。

腎臓のクリアランスがUV/Pで表されることを思い出してほしい。UVは尿中に排泄される量で、Pは血漿中濃度である。式1で示した関係と同じである。

通常、薬の除去には肝臓、腎臓、肺、その他の臓器が関与し、それぞれ独自の直特性を有している。循環結中にある薬から見ると、これらの個々の除去経路は区別できないので全身クリアランスとして、つまり体全体から薬が除去されるものとして扱う。

次の値は覚えておく必要がある。

式1は、除去速度=クリアランス×薬の血漿濃度と書き換えられる。 薬が体内から除去される速度は、薬の血中濃度に比例する。この式で、その比例定数がクリアランスにあたることが分かる。

リアランスの重要性:クリアランスは、定常状態において目的とする血漿濃度を達成するのに必要な薬の維持投与速度を決定するパラメータである。定常状態では、除去速度=維持投与速度であるため次の式の関係が成り立つ。「維持投与速度=クリアランス×定常状態における薬の血漿濃度。」

リアランスの測定法:一定速度で静脈内投与し定常状態を保っているならば、上記の色より、次の関係が成り立つ。「クリアランス=維持投与速度/定常状態における薬の血漿濃度(式2)。」

または、静脈内に1回投与した後、経時的に血中濃度を測定し、AUCを求め、次の式から クリアランスを求める。「クリアランス=投与量/AUC。」この式は式2の分母と分子に時間をかけたことによって求められた。AUCが大きい、つまり薬の減り具合が大きければ、クリアランスは小さくなる。

見かけの分布容積

ここで言う分布容積は、実際の生理学的な分布容積を表すのではなく、薬物の組織移行性の程度を表す動力学的なパラメーターである。体内各部位の薬物分布が平行に出したときの薬物量と血中薬物濃度の比が用いられる。例えば、ある薬物の血中濃度が10mg/Lで体内2000mgの薬物が存在する時、見かけの分布容積は100Lである。すなわち、1000mgの 薬物が仮想的な100Lの容積に分布し、血中濃度が10 mg/Lになっている。

Volume of Distrivution(Vd) = total amount of drug in body / Blood of Plasma drug concentration

分布容積が”みかけ”の容積とすると、どのような因子で決定されているのか?主要因子は、血漿タンパクとの結合と比較して、薬が組織成分とどの程度強く結合するかである。薬が組織成分と非常に強く結合し、体内に存在する大部分の薬が組織に留まり血漿中にわずかしかなければ、血中濃度が低くなりVdは大きくなる。イミプラミンやクロルプロマジンのような脂溶性塩基はその代表である。 イミプラミンのVdは2100リットルである。逆に、薬が血漿タンパクと非常に強く結合していれば、血中濃度が高くなりVdは小さくなり血液量に近似する。 ワルファリンがその代表である。 ワルファリンのVdは8リットルである。

VDの測定法について整理する。 ここでは値を仮定して話を進める。200mgの薬を投与し、経時的に血液を採取し薬物濃度を測定したとする。薬物濃度の対数を時間に対してプロットすると、図は直線となる。これを0 time(投与時点)まで外挿すれば、薬が除去される前すなわち200mgの薬が全て体内にあるときの薬物濃度10mg/Lが得られる。

「(Vd) = total amount of drug in body / Blood of Plasma drug concentration」の関係から、 投与時点(0 time)では、Vd=does/Co=200/10=20L、となる。

Vdは臨床でどのように使うのか整理する。(クリアランスは持続投与時の正常状態における薬物濃度を決定した。薬の投与を維持量で開始すれば、定常状態に達するにはある程度の時間を要した。)ある目標血中濃度に速やかに到達させるには、loading does(初回負荷量)が投与される。loading doesの決定にVdが使われる。例えば、見かけの分布容積(Vd) 20Lに 10mg/Lの濃度で薬を満たすには、200mgを1度に負荷してやれば良い。つまり次の関係が成り立つ。「loading does(初回負荷量)=Vd×目標血中濃度」。値を当てはめると「200mg=20L×10mg/L」となる。

消失速度・消失半減期

薬は、リザーバ(Vd)に分布し、その分角(Q/V)が単位時間に直結間に送られ、ある比率(0<E<1)で非可逆的に除去される。それゆえ、単位時間あたりに除去される分画Kelは次のようになる。「Kel=QE/V=CLs/V(/time)」。

リアランス(CLs)と見かけの分布容積(Vd)は一定条件下では定数を取るので、Kelも定数で一次消失速度と呼ばれる。重要な事は、Kelが(生理学過程で決定される薬の特性を表す) 2つの独立したパラメータの比であるということである。

消失半減期について整理する。消失半減期(t 1/2)は、血中薬物濃度が初期濃度の半分に下がるまでに要する時間のことである。薬の消失過程は通常、指数関数的で、単位時間あたりに身体から消失する薬の割合は一定である。 薬の消失過程をグラフ化するときに、血中薬物濃度を対数でプロットすると直線となる。これをfirst order elimination (一次消失)と呼ぶ。

単回投与後の血中薬物濃度は、指数関数的に出するので、投与時(time 0)の初期薬物濃度をC0、一次消失速度定数をkとすると、ある時間tにおける薬物濃度Ctは、次のようになる。「Ct=C0e^-kt」。 血中薬物濃度が初期濃度の半分になる時間がt1/2なので、次の式が立式される。「0.5C0=Coe^-kt1/2」。これを式変形すると、「t1/2=0.693/k、ただしk=CLs/V」となる。つまり「t1/2=0.693*Vd/CLs」となる。

このように、薬の消失半減期は、薬の器の大きさ(見かけの分布容積Vd)と除去効率(クリアランスCLs)の逆数に比例することがわかる。薬が除去される速度が早ければ(クリアランスが大きければ)半減期は短くなるし、大きな器に薬が分布していれば(Vdが大きければ)空っぽにしていくのに時間がかかる(つまり半減期が長くなる)事は、想像できるだろう。別の考え方をすると、Vdが大きいと言う事は、薬は血中に比べて組織で濃縮されているので、除去組織である肝臓や腎臓に血流を通じて入り込む薬の量が少なくなることを意味する。

半減期の臨床的重要性についてまとめる。半減期は、単回投与後の作用持続時間、持続投与時の定常状態に達するまでにかかる時間、反復投与時の至適投与間隔の決定に必要である。

  • 単回投与後の作用持続時間についてまとめる。単回投与後、半減期の長い薬は有効血中濃度を上回る時間が長くなる。(しかし濃度指数関数的に減少するので、投与量倍にしても作用持続時間が倍になるとは限らない。大雑把に言って、投与量倍にすれば、作業時間は1半減期伸びる。)

  • 持続投与時の定常状態に達するまでにかかる時間について整理する。一定の速度で薬を注入していくと、(投与中断後の除去過程とミラーイメージで)定常状態に近づいていく。クロロキンの半減期は200時間あるので、4半減期は約5週間に相当し、マラリア流行地に行く数週間前から予防投与を開始する必要があることが理解できる。またテオフィリン投与期間中に血中濃度をモニターすることがある。テオフィリンの半減期は通常6〜8時間だが、重篤な心疾患や肝疾患では(肝臓でのクリアランスが減少するため)半減期が20時間となる。通常の速度でテオフィリンを注入していくと20時間後でも50%にしかならない。そこで定常状態に達するまでの時間は同じでも、有効血中濃度に早く入れるために初回負荷量を投与することになる。つまり初回に投入する薬の量を増やすと言うことである。

  • 反復投与時の至適投与間隔の決定について整理する。定常状態では、投与間の血中薬剤濃度の変動幅は、半減期と投与間隔によって影響を受ける。もし半減期と同じ間隔で薬が投与され、速やかに吸収されピークに達するとすれば、次回投与直前の最低血中濃度(トラフ値と言う)は半分になっているはずである。したがってピーク値はトラフ値の倍となり、血中薬剤濃度はこの間の変動することになる。もし半減期より短い間隔で投与を繰り返せば、血中薬剤濃度の変動幅はもっと小さくなり、血中濃度上昇による毒性は軽減する。半減期が2〜5時間である小児のテオフィリン治療を例にして考えてみよう。テオフィリンの治療域は10〜20mg/Lで、吸収が早い通常の100mg製材を4時間ごとに投与すればこの範囲で変動する。4時間ごとの投与は現実的ではないので、300mg製材を12時間間隔で投与することにした。これでは、ピークで毒性が出て、トラフでは有効血中濃度を下回ってしまう。そこで、徐放製剤を使用し、持続投与を模倣し、投与間隔を12時間間隔にすることを試みる。 徐放製剤では除去速度よりも緩やかな速度で吸収が起こるので、血中薬剤濃度の変動が少なく、かつ実現可能な投与計画となる。

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