医学部再受験・学士編入blog by シマ(東工大卒脱サラ医大生)

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工学部卒サラリーマンが医師を目指した理由

工学部卒サラリーマンであった私が医師を目指した理由をご紹介します。進路選択に関しては紆余曲折あったので過去を振り返りながらまとめます。医学部再受験や医学部学士編入を考えている方、今から医師を目指す方に少しでもいい影響を与えられれば幸いです。

医師を目指した理由

進路選択についてはじめて考えたのは高校生の時です。当時はやってみたい仕事など想像もつかなかったのですが、「経済的な豊かさこそが幸せである」という価値観を漠然と持っていました。お金をたくさん稼ぐことが幸せにつながる、そのためには有名な大学に行ったほうが良いという短絡的な考えで大学に進学しました。

大学では本当は理学部で物理を学びたかったのですが、成績が足りずに工学部に入りました。当時は大学名ばかりにこだわっていたので専攻に関しては特に考えていませんでした。今振り返ると若干の危うさを感じます。しかし、どんな分野でも勉強すれば面白いだろうという楽観的な考え方は正しかったともいえます。結局材料工学を専攻しましたが、当初思っていた以上に奥が深く楽しんで勉強や研究を楽しむことができました。

大学生の時の就職活動を通してもう一度自分の価値観と向き合うことになりました。根本的な価値観は変わっていませんでしたが、自分がお金を稼ぐと同時に経済の発展に貢献できる仕事がしたいと考えるようになりました。学生時代にメディア事業を手がけるベンチャー企業インターンをしていたこともあり経済メディア企業に就職しました。結局、材料工学の知識は一切使うことのない就職先を選びました。

医師を目指したきっかけは就職後の経験による部分が大きいです。新卒として入社した会社は若いうちから裁量権がありましたが同時に1年目からハードワークを求められる環境でした。私の所属していた部署はそれほど忙しくなかったのですが、同期の中には職場の環境に適応できずに精神的・身体的に不調になる人が少なからずいました。また同じ時期に大学院に進んだ友人たちの複数が精神的に不調になってしまい、研究室に行けなくなったり休学をしたりという状態になりました。会社や大学でこれから活躍するはずであった優秀な同期が力を発揮できない状況に大きな違和感を感じました。この経験から、今までの自分の価値観である「経済的な豊かさこそが幸せである」という考え方に疑問を持つようになりました。もちろん最低限のお金があることは大切ですが、精神的・肉体的に健康であってはじめて幸せになれるのだと身をもって実感しました。社会を支える人たちが心身ともに健康で過ごせるような環境を整えることに価値を感じるようになったため、思い切って自分の仕事を変えることを検討しました。

気になったことがあれば、それをやっている人に会いにいくように心がけています。会社には産業医の先生がいらっしゃったので話を伺いに行きました。

とても運が良いことにお話を伺った会社の統括産業医の先生は某医大の副学長を務めた経験があり、現役の名誉教授でもあるとても著名な先生でした。医師の仕事の良い面、悪い面など現実を踏まえたお話を聞けたことはとても有意義でした。医学部の教授という立場からも、社会人を経験した医学生はよく学んでいて他の学生に良い影響を与えていることも多い、とポジティブな意見もいただけました。

もう一人、精神科を専門とする産業医の先生にもお話を伺いました。こちらの先生は大学で土木工学を専攻されたあとに再受験で医学部に入り直し医師になられた先生でした。産業医をされながら文学部心理学科で教授を務められている多彩な先生です。こちらの先生には、医師を目指すなら早いほうがいいという現実的なコメントをいただきました。実際に再受験を経て医師になられた先生に出会えたことはとても良い経験となりました。

就職をしてから様々な経験や出会いを通して、自分の価値観が「経済的な豊かさこそが幸せである」という考えから「心と身体の健康が第一である」という考え方に変化をしました。労働者やそれ以外の人も含む全ての人の健康を支える医師になりたいと思い、実際に現役の医師にお話を伺って自分の目指す方向性に確信を持つことができました。心身の状態はもちろん、その人の社会的立場を踏まえた診療ができる医師、特に精神科医産業医になりたいと思い医学部再受験にたどり着きました。

おわりに

最後に、医大生になって感じることを少しだけ付け加えます。医学部入学前は現役で大学に合格した18歳の学生たちの中に溶け込んでうまくやっていけるか気になっていたのですが、特に問題はなさそうです。年齢を重ねてから思うところがあり医学部に入りなす人は少なからずいますし、同じ医師を目指す集団ですので必ず仲間はできます。周り道をして医学部を目指す方々は様々な種類のストレスがかかる場面もあるかと思いますが、入学後のことは心配せずに入学試験の勉強に取り組んでいただければと思います。

私が医学部再受験、医学部学士編入を志した際にはたくさんの経験者の情報を収集してモチベーションを上げていました。このエピソードが今後医師を目指す人の一助になることを願っております。